バックカントリーや登山をやる方にとっては山岳保険は馴染みのある保険だと思いますが、最近は「ココヘリ」というサービスが注目されています。
山岳フィールドで遭難した場合、一番重要なのは如何に遭難者の位置を特定するか。という事です。
広大な山岳フィールドにおいて、人(遭難者)を見つけるのはとても困難です。
最近キャンプ場で行方不明になった方のニュースも連日報道されており、自衛隊警察合わせて何百人もの人が捜査を行いましたが見つかっていません。
山で人を手掛かりなしに見つけるというのがどれだけ途方もない労力が必要なのかがよくわかると思います。
遭難者の位置情報がわかればすぐに救助へ迎うことができます。
そのためのサービスが「ココヘリ」です。
ココヘリの特徴・メリット
ヘリコプターによる広範囲の検索
ココヘリという名称からもわかる通り、ヘリコプターによって遭難者の位置を特定します。ヘリコプターを使う事で迅速に、広範囲の捜索が可能です。
位置情報の特定に特化したサービス
ココヘリは「遭難者の位置」を特定するサービスです。
注意したいのはあくまで位置を特定する事に特化したサービスだという事です。
ココヘリのサービスによって救助活動自体は行われません。
位置情報を救助組織へ引き渡す事で、救助隊が迅速にその位置へ駆けつけられます。
ココヘリからの位置情報を受け取った後の救助組織による救助活動に関する費用は請求が別なので、別途山岳保険でカバーする必要があります。
ココヘリ(位置特定)と救助活動は別と考えてください。
行方不明を回避
生死に関わらず、山岳遭難での行方不明は、「失踪」扱いになります。
その場合、死亡の確認ができないので、
- 生命保険が下りない
- 住宅ローン等の死亡保障が使えない
- 会社が無断欠勤扱い。最悪解雇され、退職金も支払われない。
という事になりかねません。
残された遺族の事を考えると失踪にだけはなってはいけない事がわかると思います。
実績
サービスが始まってから数年たち、実績も見えてきました。過去1年間での実績ではほぼ100%の事案が解決しています。
ただ1件、会員証(送信機)を不携帯による未解決があるようです。サービスに加入していても送信機を持っていかないのでは意味がありません。そこは十分注意したいところです。
ココヘリの仕組み
会員証とは
会員証と言われる発信機から電波が送信されます。900MHz帯の電波を使用し、約16km先まで送信が可能です。
受信側も16km先での受信が可能だそうです。受信には専用の受信機が必要なので我々が使う事は出来ません。
会員証(送信機)の重さは約20g。
この重さであれば負担になることはほぼありません。
電源は電池交換式ではなく充電方式。
フル充電で約3ヶ月持ちます。
長持ちするとはいえ、電池が切れてしまっては不携帯と同じなので、こまめに充電した方が良さそうです。
実際の使い方
①.登山届けを提出し、会員証(送信機)を持って登山に行きます。
ここが一番重要です。登山届けと会員証の携帯なくしてこのサービスは成り立ちません。
私もそうですが、普段登山届けを軽視しがちなので、登山届けを作成し、家族にも行き先をしっかり伝えましょう。
いくらヘリコプターでの捜索とはいえ、捜索可能範囲はたった16km四方です。ある程度遭難者の行動山域がわからない事には探し用がありません。
オンライン登山届けのコンパスとも連携しているのでそちらも積極的に利用しましょう。
②.遭難した場合は、遭難者もしくは家族・友人が専用コールセンターへ連絡します。
捜索には専用のコールセンターの電話番号・会員証のID情報が必要になります。自分はもちろん、家族・友人とも情報を共有しておきましょう。
③.ヘリが遭難者を検索、位置を特定
④.救助を待ちます。
保障内容
ヘリコプター料金
1回の救助要請につき、3フライト(9時間分)までは無料で保障。
4回目以降は有料。
対象範囲は全国(沖縄、屋久島は対象外)
個人賠償責任補償
第3者に対する対人・対物事故に関しては1億円(個人負担額無し)
登山用品の破損・盗難は最大3万円(免責5000円)
地味に登山用品の補償が付いているのはありがたいですね。
料金
気になる料金ですが、基本コースは、入会金が3000円。年会費が3650円(すべて税別)です。
入会金は別として、1日換算で10円です。
1日10円を高いと見るか、安いと見るかはあなたの登山スタイルや山に行く頻度次第で考えが違うと思いますが、どんな小さな山であってもリスクは存在します。
個人的には万一の保険としてはとてもリーズナブルだと思います。
Bluetooth機能内臓の新Verが発売
新たに Bluetooth通信ができるようになった送信機のPREMIUMコースが登場しています。従来の送信機は専用の受信機が必要かつそれは我々は手にする事ができないので、新たにBluetooth機能が追加されました。
Bluetooth機能のみの子機がセットになったPREMIUM Lコースもあります。
コラボ企画
ココヘリでは様々なコラボ企画をやっています。
まずは普及させる事が第一という考えのようです。
会員数は現在2万にほどいるそうですが、全登山人口の1%にも満たない数字のようです。
コラボ企画はコラボデザインであったり、入会金や初年度の会費が無料になったりとお得なコラボが多いので、気に入ったコラボ企画があれば是非検討してみてください。
ココヘリオリジナルコラボ
ココヘリ公式と用具メーカーとのコラボ商品です。
商品購入の特典としてココヘリの入会金・1年目の年会費が無料になります。
商品自体は割引されていませんが、オリジナルモデル等もあるので気に入った商品があれば検討してみてください。
おすすめは①、②、④です。商品自体の価格と入会金・年会費の総額が近いので割引率が高く、お買い得感が高いです。
①.インナー:MILLET ドライミナックメッシュセット
②.ヘッドライト:LEDLENSER NER10Rセット
③.ヘルメット:サワレ ベガ セット
④.ツェルト:アライテント ビバークツェルトセット
⑤.ビーコン:arva EV05セット
⑥.ザック: MILLET プロライター38+10セット
山岳保険コラボ
山岳保険とのコラボ商品です。
対象の山岳保険に入っている方はココヘリの入会金が無料になります。
①.JRO(日本山岳救助機構合同会社)
②.nihiho(日本費用補償少額短期保険 レスキュー費用保険)
企業コラボ
登山関連の企業とのコラボです。特典はその企業によって異なります。
①.ヤマレコ
ヤマレコプレミアムプラン3ヶ月(1,080円)が無料
②.VW(Volkswagen)
現在はすでに終了していますが、オリジナルデザイン+ココヘリの入会金・1年目の年会費が無料のキャンペーンを実施していました。
番外編
山岳用途としては少し離れますが、他の位置特定サービスも行なっています。
子供見守りサービス:COCOKIDS
ペット見守りサービス:COCOSIPPO
ドローン見守りサービス:COCOAttA
こちらはココヘリではなくヒトココの派生品です。
ヒトココは送受信機がセットになっているので自分で送信機側を捜索する事が可能です。
万が一離れてしまった場合に自力で戻ってくる事が困難な対象に向けてのサービスになっています。
まとめ
位置を迅速に特定してもらう事に特化したココヘリを紹介しました。
もちろんこれがあるからといって無茶をしても安心。という事ではありません。
山で事故をおこなさない事が前提ですが、何かが起こった際に被害を最小限に止めるための保険は重要だと思います。
自分だけは大丈夫。という過信はせずに、日頃の備えを十分に検討しましょう。
新しい機能の追加やサービスの充実などにも積極的なので、これからより使いやすいサービスになっていくのではないでしょうか。
コラボ企画も期間限定で行われる事もあるので機会があれば是非チェックしてみてください。